
こういうとなんだが、これだけイケメンでも可愛くもない顔が並んだ日本映画はひさしぶりに見た。そういう顔が商業的に並ぶ光景に食傷気味だったので一種の覚醒を覚えるけれど、爽やかというわけではない。映像的な美しさとか愉しみといったものも薄く、何か簡単に気持ちよくさせないぞといった意思みたいなものを感じた。
美女美男ではなくても何か「いい顔」「いい面構え」が並ぶのが映画、というなんとなくの思い込みがあったのだが、ここではそれなりにイケメン風だったりするマスクも登場するのだが不思議なくらい、ああいい顔ねという反応をおよそ呼ばない。懐かない顔というか、かといったアウトロー風というのでもない。
リリー・フランキーや光石研といった馴染みのある顔が出てくるとやや違和感を覚えるくらい見たこと感の薄い顔が並ぶ。出演者たちにこれから馴染んでいくことになるかもしれないが、この見たことのない感じは残ると思う。
東京の水路に漬かった高速道路の柱脚がどの程度老朽化しているかチェックする会社の社員が主役の一人なのだが、その老朽化した状態がそのまま今の日本社会を象徴ですという調子でなしに象徴になっている。
とにかくどうしようもない連中のどうしようもないエピソードが交錯しながら描かれるのだが、それが私小説的な憐憫とも社会派的な告発とも離れている不思議なタッチだが、まぎれもなくこれ今の日本の風景ではあるという手応えはある。
(☆☆☆★)
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映画『恋人たち』 - シネマトゥデイ

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