映画日記blog

見た映画その他についての日記です

2011-09-01から1ヶ月間の記事一覧

「ハウスメイド」

韓国らしいどろどろしたドラマと優雅な調度品、音楽(ベートーベンほか)との混交。オリジナルの「下女」というタイトルの方がぴったりくる。 女ばかりの登場人物の中で男は一人だけだが、負けず劣らずしぶとく傲岸で性欲むんむんで十分対抗している。 小さ…

「どぶ」

白塗りの乙羽信子は道化のメイクというべきだろう。「道」のジュリエッタ・マシーナをいやでも思わせるわけだが、作られたのは1954年で「道」と同じ。シンクロニシティというか。新藤兼人の、リアリズムだけにとどまらない一種のデフォルメ志向がこの頃から…

「シャンハイ」

真珠湾攻撃二ヶ月前の話なので、日本の扱いは愉快なものではない。渡辺謙の発言力のせいか、型通りの悪役ではないのが救い。登場人物同士の人間関係の綾みたいなものは希薄。回想形式が中途半端。長くなりすぎたのを縮める方便かと憶測する。当時の上海を今…

「未来を生きる君たちへ」

デンマーク映画にはカンヌでパルム・ドールを二度受賞しているビレ・アウグストという先輩格の監督がいるが、その人の初期作品の「子供たちの城」とも共通する独特の泥臭さと残酷さがある。わずかな鑑賞本数でいうことはできないが、サイレント映画時代のカ…

「チョコレート・ファイター」

女の子が大の男をばたばた倒していくというのが見せ場なのだけれど、スピードやしなやかさに感心する一方でどうしてもパワー不足な印象が強く、これで一撃必殺というわけにいくのかなと疑問を感じる。実際にできるできないの問題ではなく、見た目の説得力の…

「ツリー・オブ・ライフ」(二回目)

最初見たときには正直いささか当惑して、しかしわからないなりに何かひっかかるものがあったので、最近では珍しく劇場に二度見に行った。 一回目に見た時の文章とだぶるところも矛盾するところもあるが、二回目に見たのは「別のもの」だから調整をはかること…

邦画を彩った女優たち「岸恵子 わたしのままに」

岸恵子・久我美子・有馬稲子の三人で立ち上げたプロダクション「にんじんくらぶ」の名前をつかまえて小津安二郎が松竹はいつから八百屋になったんだ、ダイコンとかにんじんとか、と揶揄していたとのこと。もっとも後に「大根と人参」というタイトルのシナリ…

瀬川昌治 三本立て in したまちコメディ映画祭

『乾杯!ごきげん野郎』 ワンシーンごとにツイスト(ひねり)があってきちっと90分前後で終わる話術に感心する。脚本は井出雅人。 音楽界の描き方や曲調はさすがに古さを感じるが、音楽処理自体は流麗なもの。 『喜劇 競馬必勝法』 会場の浅草中映は、馬券売…

「ハンナ」

シアーシャ・ローハンが成長したぶん顔の長さが目立ってきて、「つぐない」で年取ってからの姿を演じたバネッサ・レッドグレーブ系の容姿になるのかなと思わせる。 女の子が大の男を相手取るアクション・シーンでの関節技や急所を狙う格闘術が、素人目には説…

「ライフ ―いのちをつなぐ物語」

製作費35億。これだけかけられるのは回収できる目処がつく、つまりエコが商売になる、ということ。 小学生の時は自然ドキュメンタリーが単純に好きでよく見ていたが、こう作りが大がかりで撮影技術のレベルの高さを競うようになると、かえって人工性が入って…

「その壁を砕け」

車でえんえんと熊谷から新潟まで走っていくあたりの1959年の日本の風景が、製作当時では想像できなかったような面白さを持つ。 貧しい青年が何年もかけて金をためて新車を買って長いこと遠距離恋愛を続けてきた恋人を迎えにいって結婚する予定というあたり、…

「ゴーストライター」

満席で前から二番目という結構すごい席で見る羽目になる。冒頭ざあざあ降っている雨がその場の暗鬱な効果を出しているだけでなく、その後も雨が降り出すと不吉な予感をもたらしたり、前任者のゴーストライターの携帯やカーナビといったアイテムをたどってい…

「チャイナタウン」

私立探偵が主人公のハードボイルド物のものすごく手のかかった祖述。本物より本物らしいくらい。ポランスキーという人は故郷をなくしている分、環境に自分を合わせることも環境の方を合わせるのにも長けているみたい。1974年の映画というと、「スター・ウォ…

「新宿アウトロー ぶっ飛ばせ」

渡哲也と原田芳雄という、映画会社がスターを育てるシステムが辛うじて残っていた時期と崩壊したころの僅かな境目を挟んだ立ち位置の違いを感じる。年齢は原田芳雄の方がひとつ年上なのだが。 内容もプログラム・ピクチャーとニューシネマを水と油のままよく…

「黄色い星の子供たち」

フランスにもホロコーストに協力した者が大勢いた、というのはフランス人にはショッキングかしれないが、正直当たり前ではないかと思う。 ユダヤ人排斥の現れとしてはナチスに先行してドレフュス事件があったのだし、シオニズムの祖であるヘルツェルはあれで…

「赤い鳥逃げた?」

いかにも70年代の、ストーリーを推進するよりあちこちふらふら寄り道しながらちょっとした感覚的な刺激をついばんでまわって、おもしろくない生活をなんとか味わうといった趣の作り。 これだけ時間が経つと当時としては感覚的に新しかったものが、それなりに…

「新宿インシデント」

ジャッキー流カンフー・アクションを封印した作り。 立ち回りはリアルな調子だけれど、非合法の世界に生きざるをえない男としてはいささか「いい子」なキャラクターなのはスター・イメージを壊すわけにもいかないにせよ、限界を感じる。 歌舞伎町では中国人…

「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」

このシリーズ、いつ頃からか話がなんだかわからなくなって見るのをやめていたのだが、おしまいくらい劇場で見てみるかと2D版で見に行った。3Dは画面が暗くなるし(特にこれはもとの画面が暗い)、メガネの上にメガネをかけるのがうっとうしいし、料金は高い…

「カーズ2」

なんだか、無理やりな続編の典型という感じ。 アメリカ映画だとたいてい一作目でキャラクターを絞りきってしまうから、「トイ・ストーリー2」みたいに新たな設定を持ち込みでもしない限り、続編はとってつけたようなお話にしかならない。 今回はマックイー…

2011年8月に読んだ本

prisoner's books2011年08月アイテム数:20 アメリカ海兵隊―非営利型組織の自己革新 (中公新書)野中 郁次郎登録日:08月04日オーデュボンの祈り (新潮文庫)伊坂 幸太郎登録日:08月05日「生きづらさ」の時代―香山リカ×上野千鶴子+専大生 (SI Libretto)香山 …