映画日記blog

見た映画その他についての日記です

2025-01-01から1年間の記事一覧

「28年後...」

28年後 進撃の巨人を等身大にしたようなゾンビ「アルファ」があまりにすごいスピードで走ったかと思うとピタリと止まるメリハリのある動きは、解説を読むと要するに本物のアスリートを起用していたからということになるらしい。 「サスカッチ・サンセット」…

「ルノワール」

「ルノワール」 冒頭の薄暗がりの調子が「PLAN75」の冒頭そっくり。 中盤以降に主人公の少女を伝言ダイヤルでひっかける危ない若い男がいる家がカーテンで閉め切られている薄暗さ、その心の闇と通じるだろう。 時代設定が80年代でスマートフォンもパソコンも…

「罪人たち」

「罪人たち」 リアリズムというか社会派的映画かと思って見ていると、かなり場面が展開した上で途中からジャンル映画(それも相当凝った作りこんだ設定の)になり、さらにまた社会派に戻るというえらい振り幅のある往来ぶりを見せる。音楽映画でもある。 ジャ…

「脱走」

「脱走」 脱北者の話だとは知っていたが、こういう具合に展開するとは思わなかった。 語りがツイスト(ひねり)またツイストで、脱北者に限らず韓国でも義務になっている兵役についている男たち全般に通じると思われる。 失敗できるというのは価値のあることだ…

「メガロポリス」

実際にトランプに近いジョン・ヴォイトが大金持ちの役で出ているのが虚実皮膜を破っている感。 ローマになぞらえたのは「スターウォーズ」のエピソード1~3で共和制が皇帝を産んでいくのとだぶる。ルーカスもかつてコッポラの子分格だったわけだし。 オール…

「ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング」

「ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング」 トム・クルーズ主演のこのシリーズ第一作は1996年で今2025年だから29年、試みに比較すると「男はつらいよ」の第一作が作られたのが1969年で渥美清が最後に主演した48作目の「紅の花」は1995年だから…

「フロントライン」

フロントライン 褒めるところも多く、マジメな作りであること、調査・考証がしっかりしている(ように見える)こと、出演者たちの好演など。ただそれがほぼそのまま物足りないところにもなっている。 外国人キャストたちの扱いは見ている間はよかったが、どこ…

「iHostage」

iHostage アップルストアで実際に起こったらしい人質たてこもり事件を素材にしていて、そのせいかHostage(人質)にiとつけてアップル製らしくもじっている。 アップルというと高級ブランドという印象で、対する犯人はシリア出身という設定でおそらく抑圧され…

「リロ&スティッチ」

「リロ&スティッチ」 あんまりスティッチのこと可愛いと思えないんだよなあ。モフモフはしているけれど、乱暴だし、瞳がまるっきり黒目だし、爪も牙も生えてるし。まあ、現に受けてるところを見ると、こちらの感覚の方が少数派なのだろうけれど。 海の中の…

「青春の門 筑豊編」(1975)

青春の門 筑豊編 かなり不思議な作りで、小沢昭一を語り手にして大正から戦後にかけての日本近代史を駆け足で描くのだが、どうかすると小沢は姿は現しているのに亡霊のように他の登場人物には見えなかったりする。異化効果というのか。脚本は早坂暁と監督の…

「We Live in Time この時を生きて」

「We Live in Time この時を生きて」 開巻、フローレンス・ピューがジョギングの最中に道端の野生のハーブを摘み、家に戻ると小さな小屋で飼っている鶏が産んだ卵を一つづつ集め、それで料理を作る。夫のアンドリュー・ガーフィールドがベッドで寝ているのだ…

「テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ」

「テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ」 冒頭のオレオレ詐欺の手口はまるっきり日本と同じだが、その後はだいぶ違う。 日本では組織化され切り捨てられる下っ端が日本の外から電話する手口がすっかり定着したが、ここでの手口はごく小規模で足取りも簡単…

「MaXXXine マキシーン」

「MaXXXine マキシーン」 ミア・ゴスがどちらかというと受け身な役で、攻めに終始した前二作に比して三部作の完結編という感じはあまりない。 ゴア描写も控えめ。 画面そのものがゴスの役そのままに昔のポルノ映画みたいな褪色したフィルムの色調で統一され…

「秋が来るとき」

「秋が来るとき」 老婦人エレーヌ・バンサンの平和な田舎の生活を描いているようで、知らずにキノコ狩りで採った毒キノコのように隠された毒が効いてくる。 バンサンに対する娘リュディビーヌ・サニエの態度がひどくとげとげしく、毒が当たったからとはいえ…

「無能助監督日記」金子修介著

1955年生の筆者の青春期と映画界のドラスティックな変化を絡めて描いたウェブの連載がもとなのだが、かなり整理されて読みやすくなっている。 人名にルビがふられて今まで間違えて読んでいたのがわかったりするのは、他の本でももっとやってほしい。 日活の…

「宇能鴻一郎の濡れて打つ」

宇能鴻一郎の濡れて打つ 「エースをねらえ!」のパロディというか、より細かくいうと宇能鴻一郎原作より出崎統監督の「エースをねらえ!」によっぽど近い、というかそのまんまだとこれで監督デビューした金子修介監督の自伝「無能助監督日記」にある。 ひろ…

「東京カウボーイ」

東京カウボーイ 主演は日本人だけれどアメリカ映画。 プロデュースと助演に藤谷文子。 井浦新のアメリカで和牛を育てる仕事に就き、初めははサラリーマンらしく会社の仕事としてこなしながら、アメリカにわたってからは精神的に距離をとるようになり、しまい…

「ヴィクラム」

ヴィクラム たびたび書くが、インド映画で三時間近い長尺で「INTERMISSION」と出るのにトイレ休憩が入らないというの、なんとかならないか。初めの方でしこたまCM、予告編やってるのだし。 それで続きが予告されるみたいなの、映画でも配信ドラマでもシリー…

か「」く「」し「」ご「」と「

か「」く「」し「」ご「」と「 クラスメートたちの頭上にCGで「!」とか「?」といった記号が浮かんだりするもので、なんとなくマンガ原作だと思っていた。 原作小説を拾い読みしたところ「ヅカの頭上にハテナが浮かぶ」という一文がそのままあるのにびっく…

「辰巳」

「辰巳」 ヤバい稼業についている男と、その背後の世界に関わって殺された女の妹との逃避行だか、妹というのがヤバい世界に半ば染まっているのが新味で、やさぐれ感がすごく自ら手を汚すのが「レオン」などよりさらに突っ込んでいる。 「辰巳」- 映画.com Ta…

「ドッペルゲンガー(2003)」

Doppelganger マルチスクリーンがずいぶん多用されている。 役所広司がおとなしい性格なのと傍若無人なのと思い切り性格の違う役をニ役て演じているけれど、変な介助ロボットみたいなのを役所が本来の業務として研究しているのが寓話的。 今の製作だったらも…

「ノスフェラトゥ」(1979)

「ノスフェラトゥ」(1978) F・W(フリードリヒ・ウィルヘルム)・ムルナウの「吸血鬼ノスフェラトゥ」は1922年の製作で、この1978年の一度目のリメイクまで56年かかったわけだが、最近の二度目のリメイクは2025年で47年ぶりだから、まあ大雑把にともに半世紀間…

「ゾフィー・トイバー=アルプとジャン・アルプ」

ゾフィー・トイバー=アルプとジャン・アルプ

「紅楼夢(こうろうむ) 運命に引き裂かれた愛」

紅楼夢 原作はもちろん読んだことないが、日本でいうなら「源氏物語」みたいな小説らしい。 全十巻を超すヴォリュームがあるが、今回2時間弱にまとめる脚色の手際はかなりいい。 初めのうち主人公の賈宝玉(か・ほうぎょく)は先祖の手柄で何不自由なく育っ…

「父と僕の終わらない歌」

実話に基ずくと最初に出るが、外国の話らしい。 横須賀という基地港の雰囲気がジャズのスタンダード・ナンバーに生きたのは違いないが、時あたかも在日米軍がデモ隊に銃を向けるという不穏な動きを見せたもので、微妙にひっかかった。 寺尾聰が「ルビーの指…

「極悪女王」

出てくる選手の名前が全部実名。 全女の幹部が父親に負けず劣らずクズで搾取という言葉を絵に描いたよう。 ライオネス飛鳥と長与千種の後にタッグを組む二人の全力を尽くした対戦のあと互いに手を握り合うというスポ根ものそのものの展開。 先日ダンプ松本当…

星野之宣原画展

星野之宣原画展 会場内の写真撮影は禁止されていたのでしませんでしたが、星野先生を生で拝見できました。 星野之宣・諸星大二郎 色紙 川崎市民ミュージアムでもらった色紙です。

「あゝ野麦峠」

あゝ野麦峠 冒頭の雪の峠越えなど「八甲田山」(1977)かと思うような実写の迫力(「八甲田山」の撮影など今だと許されるかな)。作られたのも同じ頃の1979年。舞踏会の華族たちのダンスと女工たちの峠を越える脚が対比的にカットバックされるのだが、華族の衣装…

2025年5月に読んだ本

2025年5月に読んだ本

オディロン・ルドン ―光の夢、影の輝き

オディロン・ルドン ―光の夢、影の輝き 初めの方に版画つまりモノクロの小さめの作品をもってきて、後半にパステルの華やかな大型の作品をもってくる構成。 ルドンというと鬼太郎のバックベアードのモデルの目玉の印象が強いが、思っていたほど数は多くない…